闇と祈りに包まれた空の都市で、生きる意味を問う物語ADV
・しっかりと構成された世界観
・心に残る名言が沢山ある
・生まれてきた意味を探す物語
・かなりダークな話
・奴隷、娼婦、薬物などの暴力シーンが含まれている
・プレイ後数日立ち直れないファンもいます

~オープニングムービー~
~あらすじ~
悲劇は往々にして不条理なものだが、これほど不条理という形容がしっくりくる悲劇もなかった。
その日、この都市の一角が多くの人命と共に大地へと崩落した。
性別、年齢、人間性、地位、経済力……
犠牲者に一切の区別はなく、ただそこにいたという一事だけが、彼らの命を奪った。
なぜ死なねばならなかったのか。
無数の死に何の意味があったのか。
答えはなく、残された人々に与えられたのは、輪郭のない茫洋たる喪失感だけだった。
後に大崩落(グラン・フォルテ)と呼ばれる悲劇だ。
あれからずっと、この都市「ノーヴァス・アイテル」には不条理の雨が降り烟っている。
上層から下層へと、都市を濡らした水は低きへ流れ、やがて牢獄に聚まり澱む。
嵩を増す汚水を取り除く術もないまま、囚人たちはただ喘ぐ。
いつの日か、この都市「ノーヴァス・アイテル」に陽が差す時が来るのだろうか。
~FANZA引用~
~登場人物~
![]() ユースティア・アストレア | 背中に羽が生える病、「羽化病」に冒された少女。 とある事情で主人公が引き取ることとなる。 生みの親も育ての親もなく、物心ついた頃から下級の召使いとして使役されてきた。 辛い人生を送ってきた割に、性格は明るく朗らかで、周囲を和ませてくれる。 主人公に言わせれば、脳味噌に向日葵が群生しているような女。 今までの人生経験により家事全般にそつがなく、主人公の世話を一方的に見ていたエリスには目の仇にされる。 |
![]() エリス・フローラリア | 娼婦になりかけのところを主人公に身請けされた女。 娼館街の医者を生業としており、その腕前は娼婦たちに高く評価されているが、医者は副業で本業は主人公の妻だと個人的に強く主張している。 残念なことに患者への愛情と家事能力はかなり足りていない。 性格はドライで面倒くさがりだが、主人公の怪我を治療することには並々ならぬ情熱を燃やす。 死ねと言うと本当に死にかねないので、発言には注意が必要。 主人公曰く、まず自分の頭を治した方がいい女。 |
![]() 聖女イレーヌ | 第29代聖女イレーヌ。 大崩落の責任を取って処刑された先代聖女に代わり、祈りの力でノーヴァス・アイテルを空に留めている。 民衆の前に姿を現すことはごく稀で、聖堂の奥にある聖域で、人生を祈りに捧げているという。 光を失っていることから「盲目の聖女」と呼ばれ、民衆からの人気は絶大である。 人柄はごく一部の人間にしか知られていないが、純粋で論理的。 シニカルな物言いをするので、きつい性格と取られることが多いようだ。 |
![]() リシア・ド・ノーヴァス・ユーリィ | 家の第一王女で継承順位は一位。 実父である現王が病に伏せっているため、代理として政務を執り行っている。 まだ戴冠の儀を行っていない彼女を「無冠の女王」と揶揄する貴族もいるようだが、本人はまったく気にしていない様子。 明瞭で活力に溢れるが、育ちの良さ故か打たれ弱い一面も。 王家の人間にしては世俗への関心が強いようで、召使いから炊事や裁縫などの仕事を奪っては迷惑がられている。 |
![]() リシア・ド・ノーヴァス・ユーリィ | 「羽化病」が発症した人を半ば強●的に治癒院へ送るために作られた組織「羽狩り」。 その牢獄地域を担当する部隊の隊長を務めている。 羽狩りの持つ社会的な意義を信じて仕事に打ち込む真面目な性格。 娼館街などには嫌悪感を持っており、それが元で主人公たちと衝突する。 剣の腕にも覚えがあり、訓練などには労を惜しまない努力家でもある。 一方プライベートの面では綺麗なものやかわいいものを好む女性らしい面も。 ただ融通が利かないところがあり、周囲とぶつかることも多い。 それを本人も自覚しているのが救い。 |
![]() カイム・アストレア | 本編の主人公。「大崩落」ですべてを失い牢獄に流れ着いた男。 受けた傷痕は未だに癒えず、その胸の奥で赤い雫を滲ませている。 幼少の一時期は娼館「リリウム」の下僕として酷使されるも、「不蝕金鎖」の先代に運動能力を見込まれ、命をひさぐ仕事につく。 以来、牢獄の泥の中で刃を振るい続け、ただ己が生のために他者の命を糧としてきた。 先代の死を機に暗い仕事からは手を引いたが、いまだ彼の周りから血の匂いが消えることはない。 |
~感想~
心を震わせた、数少ない一本
正直に言うと、最近「本当に面白い」と思える作品にはなかなか出会えなくなっていました。特にここ最近の流行タイトルは、どこか自分の感性とズレている気がして…。
そんな中で以前からタイトルだけは把握していた、この『穢翼のユースティア』。
この作品は、発売から長い年月が経ってなお、語り継がれるような人気作であることは以前から認識していました。実際に「これこそが人生最高の一本」「不動の一位」という声もたびたび耳にしていたため、私も自然と大きな期待を抱いていたのです。
もしかしたら、この作品が私の“最高”を塗り替えてくれるかもしれない。そう思ってプレイを始めました。
そして、確かにこの作品は素晴らしかった。世界観、音楽、キャラクター、物語、すべてが高い完成度で構成されており、没入感も圧倒的でした。それは間違いありません。
……ですが、それでも“私の一番”は揺るぎませんでした。
おそらく、あまりにも高すぎるハードルを自分自身が設けてしまっていたのだと思います。期待が先行しすぎていたがゆえに、あと一歩、心を突き動かされる“何か”が届かなかった。そんな感覚でした。

世界観とシナリオの重厚さに惹かれる
舞台は、天上に浮かぶ都市《ノーヴァス・アイテル》。人々は「聖女の祈り」によって支えられたこの都市で、上層・下層・牢獄といった明確な格差の中で生きています。
主人公・カイムはかつて暗殺者だった男。現在は“何でも屋”として牢獄で日々を過ごしていましたが、ある日、羽を持つ少女・ユースティア(ティア)と出会ったことで、物語が動き出します。
この世界観がとにかく緻密で、政治や宗教、階級闘争といったテーマが絶妙なバランスで織り込まれています。シナリオゲー寄りの雰囲気はありつつも、きちんと全キャラクターふぁ魅力的な作品に仕上がっています。

各ルートで描かれる“選択”と“信念”
『穢翼のユースティア』では、ティアの物語がメイン軸にありながら、エリス・フィオネ・イレーヌ・リシアなどのヒロインたちにもそれぞれしっかりとルートが用意されています。
注目すべきは、各ヒロインがそれぞれの信念や葛藤に対して自分の意志で「選択」していく描写の丁寧さ。特にティアは、使命や運命との重荷を背負いながら、主人公カイムのために生きる意味を模索していく姿が痛々しいほどに胸を打ちました。

“エロゲ”という枠組みを超えた、魂に触れる物語
ヒロインとの関係を描くだけの“萌えゲー”ではなく、宗教・政治・差別・階級・信仰といった社会構造と人間の業にまで踏み込んだこの作品は、間違いなく名作です。
そのうえで、ティアとの最終章は、「生まれてきた意味」を最後に自ら見出すという構成が、あまりに美しく、哀しく、そして切ない。

ドラマ性の強いエロゲ
唯一挙げるとすれば、やはりもう少し“その後”の物語が描かれていてほしかったという点です。
主人公・カイムが、どのような日々を生きていったのか――その姿をもう少し見届けたかったという思いが残ります。心に深く刻まれるラストだったからこそ、余韻と共にその先の物語にも触れてみたかった。
ですが、それすら些細に思えるほどに、物語・演出・音楽・キャラ・演技、すべてにおいて完成度が高く、“物語体験”という意味ではフルプライス以上の価値がありました。
エロゲの枠を超えて、心に刺さる一本。
特に、世界観に没入したい人や、信念と犠牲というテーマが好きな方には強くおすすめしたい作品です。

~最後に~
今回は、オーガストの名作「穢翼のユースティア」をご紹介しました。
物語の核心に触れるため詳しくは控えますが、本作には数多くの心に残る名言が散りばめられており、プレイ中は一瞬たりとも目を離せないほどの没入感があります。シリアスで重厚なストーリーを味わいたい方には特におすすめの一本です。
また、同じくオーガスト作品である「千の刃濤、桃花染の皇姫」も、壮大で美しい世界観が魅力の作品です。こちらもぜひ手に取ってみてください。
2ページ目からネタバレ有の感想を作成致しました。
プレイ済みの人やプレイを検討していない人だけご覧いただければと思います。








