このページはネタバレが過剰に含まれています。
気を付けてご観覧ください。
anemoi プレイ感想感想【ネタバレ有】

個別ルートで好きな順に感想を記載していきます。
淡雪 陽彩
何度でも何回でもあなたと恋が出来る

淡雪√をクリアしてまず思ったこと。
これは『anemoi』の中でも、間違いなく“一番恋愛をしていた√”でした。
個人的には3番目に攻略したルート。
プレイしている最中から、なんとなく「淡雪は普通の人間ではないんだろうな」という予感はありました。
そして明かされる正体――
彼女は“愛から生まれた知的生命体・アルミアス”。
この設定が本当に素晴らしかった。
淡雪は現在の世界線を越え、別の世界線へ移動することができる。
作中ではそれを“泡世界”と呼んでいましたが、この表現がまた美しい。
那由多に存在する泡のような世界。
その一つひとつに違う可能性が存在している。
そしてシナリオ構成も本当に見事。
このルートは、まるで“逆の美女と野獣”であり、“人魚姫”でもあるような物語でした。

美しいものを追い求める淡雪。
「美とは何か」「恋とは何か」を問い続けるシナリオ。
人ではなくなっていく淡雪。
それでも彼女を愛し続ける麦。
これはもう、最高峰の“愛”そのものだったと思います。
特に印象的だったのは、麦が泡世界へ飛ばされてしまう展開。
それまで冷静で、どこか達観していた淡雪が、必死になって麦を探し続けるんです。
那由多ほど存在する泡世界を巡りながら、命を削ってでも愛する人を探し続ける。
あの姿には、本当に強い愛を感じました。
しかも、そのギャップが凄く良い。
今までどこか不思議で掴みどころのなかった淡雪が、麦のためだけに感情を爆発させる。
その瞬間、一気に彼女が“恋する女の子”に見えてくるんですよね。
そして辿り着く、生命が存在しない二人だけの世界。
ここでの二人は、本当にやりたい放題でした。
誰にも邪魔されず、二人だけで世界を巡り、思いっきり青春を楽しむ。
あの時間は、儚いからこそ美しかった。
けれど、永遠なんて存在しない。
力を使い果たした淡雪は、最後には消えてしまう。
ここで終わりかと思ったその瞬間――
別の泡世界で“告白の選択肢”へ戻る演出。
これは本当に鳥肌が立ちました。
ノベルゲームという媒体だからこそ出来る、最高クラスの演出だったと思います。
そして、その後に描かれる“告白しない√”。
これもまた、本当に美しかった。
告白してしまえば、淡雪はいずれ消えてしまう。
だからこそ、恋人ではなく“友人”として三人で旅をする道を選ぶ。
淡雪、つづら、麦。
三人で世界中の“美しいもの”を探し続ける旅。
互いに想い合っているのに、好きと言えない。
その関係性があまりにも切ない。
そして、麦が寿命を迎える間際。
ようやく告白できたあのシーンは、本当に胸に刺さりました。
ずっと隣にいたのに。
ずっとお互い愛していたのに。
最後の最後まで、淡雪はその想いを伝えることが出来なかった。

だからこそ、あの告白は重かった。
しかも、このルートで終わらないのが凄い。
また“告白の選択肢”へ戻るんです。
「もしかしたら存在していたかもしれない世界線」をプレイヤーに見せてくれる。この構成が本当に上手い。
そして最終的に麦は、一番苦しく、一番残酷で、一番大変な未来だとしても――
“淡雪へ告白する世界線”を選ぶ。そして家族になりたかった。
そこには確かに、“愛”と“美しさ”がありました。
ただ泣かせるだけではない。
ただ感動させるだけでもない。
「美しいとは何か」
「誰かを愛するとは何か」
その答えを、最後までプレイヤーへ問い続けてくる。
淡雪√は、そんなルートだったと思います。
ここでしか味わえない感情が、確かにありました。
早川 六花


